楽譜を取り込んでボカロに歌わせよう
はじめに
手元に歌の楽譜があるけど、この曲どんな曲だろう?ってことないでしょうか。または、この曲いいけどボカロに歌わせたらどんなかんじになるんだろう?と思ったことないでしょうか?でも MIDI で打ち込むのは非常に時間がかかります。ですが今は技術の進歩によって大半の面倒な部分を自動化することができます。お金はかかりますがその価値は折り紙付きです。時間はお金で買う物ですw。
というわけで、今回は簡単に楽譜を取り込んでパパッと VOCALOID に歌わせてみましょう。
公開済み動画
「友達」(作詞 長井理佳/作曲 大澤徹訓)
使用ソフト
この記事では以下のソフトを使用しましたが全てが必須なわけではありませんし、別のアプリケーションでも同様のことはできるはずです。私はこの構成が一番楽(余計なことを考えなくてすむ)なのでは?と思って使用しています。
- スコアメーカー8 Pro
KAWAI 製の楽譜を作成するアプリケーションです。紙の楽譜や画像ファイルになった楽譜を認識できます。 ただ認識させるだけなら Standard バージョンで十分です。 - Cubase 7.5
VOCALOID を作った YAMAHA の子会社 Steinberg 社製の音楽制作ソフトです。VOCALOID 用のプラグインを使用することで制作の難易度は格段に下がる上、それほど手をかけずある程度の品質を得られます。Studio One と Piapro Studio もある程度できたのですが、rit などテンポが DAW、VST 間で同期しなくてイライラして乗り換えました。ただ、この Cubase はライセンス認証が未だに USB ドングルという・・・ちょっと時代遅れな認証のせいで USB ポートを消費してしまいます。私はタブレット PC で制作しているので本当に USB ポートの消費は止めて欲しいです。 - VOCALOID Editor for Cubase NEO (ボカキュー)
Cubase 内で VOCALOID Editor が使えるようになるプラグインです。もうコレ無しには生きていけません。 Cubase 7 なら全てのグレード使用可能です。 - [VOCALOID] 初音ミク V3
言わずと知れた VOCALOID の音声ライブラリです。 今回は女性パート(その1)で使用。 - [VOCALOID] Kaito V3
言わずと知れた VOCALOID の音声ライブラリです。 今回は男性パートで使用。 - [VOCALOID] kokone
今年の 2月14日に発売した Internet 社の音声ライブラリです。 今回は女性パート(その2)で使用。ミクとどっちが曲に合っているかなと思って、いつも二人分用意しています。 - [VSTi] ALICIA’S KEYS (Piano)
ピアノの生音を録音して作成されたサンプリング音源です。安価ですが非常に高音質です。昔はパッケージも売っていたのですが、現在ダウンロードのみっぽいです。上記リンクで購入可能です。
手順
- 楽譜(画像ファイル or PDF、スキャンも可能)を用意する
- スコアメーカーで楽譜を認識する
- 楽譜を修正する
- MIDI(SMF)ファイルに書き出す(エクスポート)
- Cubase に MIDI ファイルを読み込む
- インストゥルメントを追加する
- MIDI トラックを移動する
- VOCALOID Editor for CUBASE でトラックを編集する
- 歌詞を入力する
- ミキサーで音量を調整する
- ミックスダウンする
楽譜
今回使用した楽譜は「クラス合唱曲集 Super Chorus 」です。まだまだ音楽制作歴も少なく、DAW の使用方法も大してわかっていない私にとって、練習用としては合唱が一番面白そうだと思って買ったものです。誰もが小学生時代に歌ったであろう曲達が 71曲収録されています。今回はこの中の 8番目「友達」で作ってみました。
スコアメーカー
認識モード
認識モードに移行し、楽譜を読み込みます。今回は PDF 化した楽譜ファイルから読み込みます。
開始ページと終了ページを指定して [OK] ボタンを押します。[認識方法] は適当に。テキストが無ければメッセージが出て画像認識されるだけですので。
しばらくすると画面上に五線が解析され、認識の前段階が終了します。楽譜の質によっては正常に五線が認識されないので手動で修正する必要があります。この楽譜は伴奏と混二の単純な構成なので正常に認識されています。
混二のパートが認識されていないので手動で適当な音色を割り当てます。
[—] の領域をクリックすると [パートテンプレートの適用] ウィンドウが表示されます。
必ず必要な手順ではありませんが、今回は合唱なので [ジャン] (ジャンル)から[ 合唱・声楽] を選んで適当にパートを振ります。(ソプラノとテナーにするはずが、ソプラノとアルトにしてしまいました。)
これで準備が整ったので [認識実行] を押して楽譜認識を開始します。ページ数や PC のスペックによって変わりますが、結構かかります。進捗はぱっと見わかりづらいですが、下部ステータスの中央より右側に文字で進捗率が書いてあります。(前から思っていたのですがこういうのは直感的にわかるようにプログレスバーを採用して欲しいものです)
認識が完了すると自動的に作成モードに移行します。
作成モード
こんな感じで認識されます。
まずはタイトルが違うので修正します。タイトルをダブルクリックすると楽譜の設定ウィンドウが出てきます。
タイトルを適切に入力します。(MIDI にするだけの場合は特にここの情報は使わないので省略してもかまいません)
次に楽譜を修正します。
[元画像] タブを開くと編集地点と同期した位置の元の画像が表示されます。今回の場合は「さわやかに」が 8va として認識されてしまったようです。こういうエラーとは認識されないものを耳を使いながら修正していきます。(今回は楽譜的なエラーが一切ありませんでした)
音符が足りなかったり、多かったりするとこの [エラー] タブにエラーのある小節の番号、パート、エラーの情報が表示されます。
スラーなどもよく正しく認識されずに消えることがあるので修正し、問題がなく聞けるようになったら MIDI ファイルに出力します。
[ファイル][エクスポート][SMF] を選び MIDI ファイルを出力します。
CUBASE
CUBASE を起動します。スコアメーカーは終了して問題ありません。
まず [空白のプロジェクトを作成] でプロジェクトを作成します。
作成後、プロジェクトにエクスポートした MIDI ファイルをドラッグ&ドロップします。
次に VST インストゥルメントを追加していきます。
追加するのは、伴奏用の VSTi、VOCALOID inst 2つの計3つです。
伴奏用 VSTi の ALICIA’S KEYS を追加するとこんな感じです。
ピアノの設定をします。デフォルトのリスニングポイントが Artist になっているので Audience にします。
設定が終わったら、伴奏用の MIDI ブロックを追加した伴奏用 VST トラックに移動します。
同様に、2つ追加した VOCALOID inst それぞれに MIDI ブロックを移動しておきます。
移動後、ブロックを選択して、
VOCALOID エディターを開きます。
と聞かれるので [はい] を押します。
全ての VOCALOID パートの歌詞を入力します。入力し終わったら歌詞の入力が間違っていないか何度か聞いて確認します。「は」と「わ」はよく間違えるの注意です。
歌詞を入力し終えたらミキサー(F3) を開いてザックリ音量を調整します。パート用のの画像を適用しています。ぱっと見パートがわかり易いし、見た目が良いですよね?
MIDI ファイルを入力したときに自動で作られたトラックを消してスッキリさせておきます。
kokone トラックを複製して Miku トラックを作ります。
[ファイル][オーディオミックスダウン] を選んで出力ウィンドウを表示します。
出力するまえに右左のロケーターの設定を忘れずに。
出力パス、ファイル形式を設定して [書き出し] します。これで何の調整もしていない素状態ですが、楽譜を元にボカロに歌わせることができました。今回は Miku バージョンと kokone バージョンを出力しました。個人的な意見ですがこのコーラスには kokone の声が合っている気がします。
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